スターウォーズと神話


ジョーゼフ キャンベルの「神話の力」を読みきった。
この本は以前、NHKで6回シリーズで特集されたキャンベル氏のインタビューの
書籍版だ。なかなかボリュームのある本で久しぶりに速読ではなく熟読させて
いただいた。

「神話の力」

この書籍にはたくさんの神話が出てくるが、その中で一番分かりやすい
逸話がおそらく「スターウォーズ」であろう。ちょっとここで紹介したい。

スターウォーズ第1作で、主人公のルークとその仲間が、
巨大なゴミ捨て場に落ちるシーンがある。
そこには、水があり、その中に怪物が潜んでいる。
キャンベル氏は、水は無意識を意味し、水の中の生き物は
無意識の領域に閉じこめられたエネルギーを表しているという。

この無意識のエネルギーは、強力で危険なので、
意識でコントロールしなければならない。
そして、この行為こそ英雄の重要な試練であると説明している。
この『無意識の巨大なエネルギー』については
ユングも言及しているが、ジョセフ キャンベルは
これを神話における英雄の試練と結びつけている。

また、スターウォーズに登場するハンソロは
海賊まがいの怪しい人物で、自分でもそれを自覚している。
レイヤ姫やルークと行動をともにしているが、あくまで利己主義
を貫いている。
ところが、最後のドタン場で、損得ぬきで行動してしまう。
冒険を通じてによって、もともと持っていた本質が表れてくる
ことを表現している。
これも英雄伝説にでてくる1つのパターンだと、キャンベル氏は
説明する。

このようにスターウォーズの様々な逸話の中には神話的な
ストーリが数多く埋め込まれている。だから人の心を掴んで
離さないのかもしれない。

キャンベル氏は、地球上の神話には
多くの共通点があると言っている。

ここに、最も古い神話の1つを紹介する。

 はじめに闇だけがあった
 闇はところどころで、かたまり、あつまっては、わかれた
 神の霊が、水のおもてをうごき
 やがて神はいわれた
 光あれ

これはかの有名な聖書の一節ではない。
ピマ インディアンの神話だ。
だが、どう見ても、旧約聖書の『創世記』には見えないか。
ピマ インディアンの神話と旧約聖書は、
大西洋によって分断され、交流のなかった
2つの世界で、独自に生まれている。
なぜ、このようなことが起こるのだろう?
(百匹目の猿現象だろうか??)

また、神話は儀式と深く結びついているため、
世界共通の普遍的な儀式が多く存在する。

中でも、象徴的なものが『いけにえ』。

『いけにえ』は世界各地にみられるが、
古代マヤの儀式は特に有名だ。
『いけにえ』は、一般的に、おぞましく、
否定的にとらえれることが多い。

ところが、マヤのいけにえの儀式の中には、
常識では考えられないものがある。
たとえば、マヤのボール競技。
ルールはさておき、問題はその勝敗の報酬だ。
勝ったチームのキャプテンが、負けたチームの
キャプテンに首をはねられるのである。
首をはねられるのは、負けた方ではなく、
勝った方である。

そこには、犠牲になることは、人生の勝利であると
いう思想があるという。
こうした儀式やストーリーを通じて、人が本来持つべき
価値観を醸成していたのかもしれない。

キャンベル氏は

「神話とは宇宙の歌、人間の意識にしみこんだ音楽である」

と言っている。

ベストセラー書籍を書く秘訣の一つに、ストーリ性がある。
最近では書籍だけでなく、ビジネスの世界においても
商品やサービスにストーリー性を持たせることの大切さが
問われている。

ストーリーは理屈ではない。音楽や映像と同じように
そのまま人の感情に、ココロに刺さるのだ。

インドのウパニシャッド哲学に、雷の神である
インドラの話がある。

神インドラはこの地球世界を治めていた。
あるとき、怪物が現れ、地球上の水をすべて封じてしまったので、
世界中で干ばつが起こり、人々は苦しんだ。
そこで雷神インドラは、稲妻を投げつけ、怪物を退治した。
すると、水の流れはもとにもどり、世界は救われた。

これを見たインドラは、自分がなんと偉大なのだろうと思った。
そこで、世界の中心にある山に行き、新しい町、
新しい宮殿をつくることにした。
インドラは、神々のために働いていた大工の棟梁をよび、
建設を命じた。やがて、すばらしい宮殿が完成するが、
インドラがやってきて、それを見るたびに、
もっと大きく、もっと豪華にしろ注文をつける。
困り果てた大工の棟梁は言った。

「あなたも、わたしも不老不死。
このままでは、わたしは永遠に囚われの身です」

大工の棟梁はこの問題を解決するため、神ブラフマンのもとに行った。
ブラフマンは、この世界の創造主で、インドラより上位にある。
ブラフマンは、蓮の花の上にすわり、その蓮は、ビシュヌの
へそからでている。
蓮は、聖なる力、聖なる恩寵の象徴をあらわす。
ビシュヌは眠れる神で、ビシュヌの見る夢が
宇宙そのものなのだ。
棟梁はブラフマンに、ことの次第を訴えた。

ある日、青黒い肌をした若者が、インドラのもとにやってきた。
インドラはその若者に、なんのために来たのか尋ねた。
若者は答えた。

「これまでのどのインドラより、立派な宮殿を建てたと
聞いたので見に来たのだ」

インドラは、怪訝そうな顔をして尋ねた。

「これまでのどのインドラより?」

若者は、笑いながらこう答えた。

「インドラは、あなた以外にもいたのです。
それが、現れては消え、また現れては消え・・・」
その若者は、話をつづけ、この宇宙世界の仕組みを説き始めた。

ビシュヌ神は宇宙の池で眠り、そのへそから蓮がはえていて、
その蓮のうえに創造主ブラフマンがすわっている。
ブラフマンが目を開けると1つの世界がうまれ、
それをインドラが治めるが、ブラフマンが目を閉じると
世界は消え、インドラも消える。
また、ブラフマンが目を開けると世界が生まれ、
それを新たなインドラが治める。
これが繰り返されるが、ブラフマンの命は43万2000年で終わる。
すると蓮がしぼみ、新しい蓮がうまれ、新しいブラフマンが生まれる。

この宇宙には無数の銀河があり、
その星の1つ1つで、蓮の上にブラフマンがすわっている。
たとえ、海にある水滴の数や、浜辺の砂の数は数えられても、
ブラフマンの数は数えられない、
まして、インドラの数など想像もつかない、と。

そのとき、宮殿の前をアリの群が整然と列をなして横切った。
それ見た若者が、声を立てて笑った。
インドラは「なぜ笑うのか?」と聞くと、若者は答えた。

「不愉快になるから、聞かない方がいいですよ」

インドラは、ますます気になり若者に迫った。すると若者は答えて言った。
「あのアリはこれまでのインドラたちです。
魂の一番低いところから、長い時間をかけて
最高のインドラまでのぼりつめ、
自分が偉大だと思った瞬間、また一番低いところに落とされるのです」
インドラは宮殿をつくるのをやめ、大工の棟梁は仕事から解放された。

神話の背景にあるこうした力が、これから世界を変える力に
なっていくかも知れない。
世界規模で通用する神話が生まれたときに、アセンションが
起こるような気がした。

興味のある方はこちらの映像をご覧ください。
45分ですが、とても面白いですよ。

神話の力:英雄伝説

<今日の記録>
RUN:雨でお休みです。
体重:84.8kg 体脂肪率:21.0
カロリー:2500-1800=+700(累計:2130)

<今日の食事>
朝:カレー
昼:から揚げ弁当
夜:野菜スティック


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