以下、ちょっと古い記事だが、これから増えそうなMBOの一形態である。
参考にしていただきたい。
株式公開企業を対象とした「マネジメント・バイアウト」(MBO)が企業戦略の選択肢として台頭してきた。銀行が主導する持合い解消が道半ばというところで、銀行株の下落に端を発した株安が続き、企業は悲鳴を上げている。増大する情報開示義務への事務対応など、上場維持のコストも膨大だ。上場企業というステータスを捨てるに足るメリットをMBOに見出す経営者も出始めている。
■わが国でも遂に真のMBOが実現
MBOは、会社の経営陣が自己の資金またはプライベート・エクイティ・ファンド等から調達する資金で自社の株式を買い取り、株主としての経営権を取得する取引だ。過去数年間でも、いくつかの会社がMBOにより買収された。だが、実態はというと、親会社や大株主が会社をファンドに売却したケースや、外資の日本法人が本社の戦略変更に伴って独立するケースなどの「株主主導」によるものが多かった。ところがこのほど、「ロキテクノ」という店頭公開企業が、純粋な経営陣主導のMBOを成功させた。
ロキテクノは売上高60億円前後の産業用フィルターメーカーで、平成6年に店頭公開した。今年2月、新生銀行や伊藤忠商事が出資するファンドが同社株式のTOB(公開買付)を発表した。買付価格は発表前6カ月間の終値の平均に31.6%のプレミアムを上乗せした水準だ。買収総額は約70億円に上る。買付けは3月中旬に完了し、全株式の97%が買付けに応募した。同社は早ければ7月にも上場廃止となり、残った株式も今後行われる一連の取引を通じて、いずれファンドに買い取られる。
■上場神話の崩壊
同社のMBOは、一見、中堅企業がファンドに買い取られたという図式にも見えるが、意外なのは、ファンドの選定から上場廃止後の経営まで終始、社長以下同社の経営陣が主導していることだ。同社の社長は「上場廃止によって機動的な経営判断で抜本的な事業改革を進めること」が目的であると説明。株式上場の意義については、「情報開示や株主総会が煩雑」「資金調達面で株式市場の恩恵がない」「業界での知名度が高く採用面、営業面のメリットも希薄」としている。
こういう感想を持つ上場企業経営者は、最近では多いのではないだろうか。上場会社は、毎期業績予想を発表する。これを上回る結果を残さないと、批判を浴びることになる。今後は四半期決算の開示も要求される。敵対的買収を防ぐための株式持合いも銀行への規制や株安で非常に高コストだ。
また、同社の経営陣と従業員は、持株をTOBで売却して売却益を得た。そのうえ、一部を再投資して同社の60%を今後も保有し経営権を確保する。この保有割合は何と、TOB以前の水準を上回っているのだ。
■全ての当事者にメリットが
こうした“芸当”を可能にするのが、LBO(レバレッジド・バイアウト)の手法だ。本件の買収総額を仮に70億円とすると、30億円以上の資金が公開買付代金としてファンドから経営陣に支払われる。一方、ファンドはいずれロキテクノと合併する流れが出来上がっているため、この70億円の相当部分を借入金(デット)で調達できる。
ロキテクノの収益力は、連結EBITDA(償却前・利払前・税引前利益)ベースで10億円を超える。現預金は20億円前後と手厚く、実質無借金の会社だ。そこで、買収資金の一部をデットとしてロキテクノに負担させるのだ。例えば、70億円のうち50億円をデットで賄ったとしよう。残りは株式(エクイティ)の形で経営陣と投資家が出資するが、その総額は20億円。経営陣には、60%を取得してもかなりの現金がポケットに入る訳だ。
他の当事者も、皆この取引で潤ったことになる。例えば、既存の株主は、TOBに応募して株を売却したが、買付価格の1120円はそれまでの市場価格を大きく上回っている。デットを供給する銀行も、このご時世に優良企業に適正なスプレッドで貸すことができる。ファンドにとっても無論、優良な投資機会だ。
このように、ゴーイング・プライベート(非上場化)のメリットは大きく、「上場企業」のステータスを放棄する見返りは十分にある。こうした取引が活発になれば、取引をアレンジする金融界のみならず、経営の機動性を確保した実業界にも多くの優秀な人材が求められることになるだろう。
<今日の記録>
ランニングはお休みです。。。二日サボりました。月間目標達成してしまったので、気が緩んでいるかもしれません。。。
体重:84.0kg
体脂肪率:21.2%
夜:ビッグマックセットに単品ダブルチーズバーガー
(写真なしです。)