空がわたしたちのことを見ていて、
わたしたちの言うことを聞いてくれる。
空はわたしたちに話しかける。
そしてわたしたちの返事を待っているの。
空には白人の神様が住んでいるって先生が言っていた。
あなたたちの神様はどこに住んでいるのでしょうって
先生が聞くから、わたしは知りませんって答えた。
だって本当に知らないんだもの!
わたしたちの神様は空。
だから空のあるところには必ずいる。
太陽も月もわたしたちの神様。
それにホピ族の人たちも。
わたしたちはここに住んでいなければならないの。
ここからはなれたら、神様もきえてしまうから。
(中略)
でも、白人はわたしたちの言うことに耳をかさない、
自分たちの言うことしか耳に入らないって、
四六時中白人とつきあっているお父さんが言ってた
(父親はトラックの運転手であった)。
おばあちゃんはね、
白人は空をせいふくしようとしているけど、
わたしたちは空に祈りをささげるために生きているって。
せいふくしようとする人に話してもむだだから、
白人の分もいのるしかないって。
だからわたしたちはただニヤニヤして
白人に《イエス》ばかり言うのよ。
そしてあの人たちのためにいのるだけ
ブラッキー(少女の愛犬)と散歩していたとき、
空にけむりのすじを見たの。
ひこうき雲。
いったいだれがのっているのかなって思った。
わたし、ひこう場に行ったことないんだ。
学校で写真は見せてもらったことはあるけど。
ブラッキーと二人でひこうきにのっている
ところをそうぞうした、
太陽にむかってどんどんとぶところをね!
そんなことしたらひこうきがとけちゃうって知っているよ。
太陽に近づくと、なんだってとけちゃうって
学校で習ったもの。
でもたましいまではとかせないよ!
わたしたちはお日様やお星様に手をふるんだ。
光をおくってありがとうって。
ずっとずっと前のおくりものを、
いまわたしたちがうけとっているんだよね。
わたしって空想するのがとくいなんだ!
ホピ族のご先祖様たちに会って、先のことを話したい。
みんながまたいっしょになれるときのことを。
川には水がたっぷり流れていて、
お日様が地球のさむいところをあたためて、
すっごくあついところは少しのあいだ
あまりてりつけないようにする。
そして世界の人が大きな輪にすわる。
みんな、きょうだいってわけ!
そのとき世界中の霊が出てきておどりくるう。
星もお日様も月もよ。
鳥たちも地面にまい下りておどる。
人間たちがそこらじゅうでおどったり、
またすわって輪をつくったり。
輪はすっごく大きいから、
メサの上に立って地平線のほうを見ても、
どこまでつづいているかわからない。
でもみんなうれしそう。
けんかなんかしない。
けんかするのは、まいごになって、
先祖のことをわすれて、わるいことをしでかすから。
いつか、みんなが大きい輪になって
手をつなげるときがくる。
ホピ族だけじゃなくて、みんなよ。
そうなったらほんとうに《いい》んだよね。
先生が良いこと、良いものの例をあげなさいって
言ったことがあるの。
ブラッキーはいいよ。
だってだれもきずつけないもん。
この世界もみんなが大きな輪をつくれるようになったらいいね。
ぐるぐる回りながら、世界中の人がその輪に入ってきたらさ。